Θ 君と僕の日常 Θ
「ね、守永さん」
「ん? どうしたの、水窪君」
名を呼べば、きょとんとした顔で俺を見つめる君。
「キスしたいんだけど」
「そうなんだ…………って、キス? えぇ!?」
突然こんなことを言えば、予想通りの表情が返ってきて、
「嫌? 君の嫌がることはしないよ」
「い…嫌っていうわけじゃない……けど」
真っ赤な顔で俯く顔は本当に可愛くて、
「嫌じゃないならいいね」
「あ、で、でも、その……」
「やっぱり嫌?」
「うっ……」
困った顔が好き。
恥かしそうに俯く顔が好き。
「わかった。君の嫌がることはしない。だから顔を上げてくれないかい?」
「……うん…………ッ!」
君は本当に素直だから、毎回毎回同じ手に引っかかる。
「み、水窪君ッ!」
「ん? なに?」
「なにって……、い、今……唇……っ」
素直に顔を上げた彼女の唇に素早く自分のそれを重ねると、彼女は真っ赤な顔で俺を見つめる。
そんな姿が可愛くて、もう一度唇を奪うと彼女は顔から火が出るんじゃないかってぐらい顔を赤らめる。
「うん。君の嫌がることはしたくないから同意が欲しかったんだけど……」
でも、無理なんだ。
同意を得ようと得まいと、俺の行動に変わりなんてないと思う。
だって、
「君が可愛すぎるのが悪い」
それに、
「それに、……本気で嫌なら君はすぐ顔にでるから分かるよ」
笑いながらそう答えると、彼女はますます真っ赤な顔をしてしまった。
ちょっと苛めすぎたかなと思ったけれど仕方ない。
俺の彼女になってしまったんだから、こんな毎日だと諦めてもらうしかない。
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