Θ キスの仕方 Θ





「思ったより枕が高いんだね」
「なっ……!?」

私の膝で寝そべってニコニコと笑う白原君の発言に、 私はショックを受けていた。 だって枕が高いってことは、肉厚があると言われているようなものだ。




どうしてこんな状況なのかというと、 教室での私の態度が付き合う前と変わらないと文句を言う白原君に、 「二人きりでなら恋人らしくできる」と私が言いきってしまったせいだ。



学校帰りに電車にの手、遊園地までやってきた。 彼の好きなお化け屋敷に飽きるほど付き合わされたのだ。 精神的に疲れきったところへ、ジェットコースとーなど回転系のアトラクションに 立て続けに付き合わされ、ぐったりした私を連れてきたのが広場だった。

「ほら、そこの芝に座って」
「うん……」

てっきり休ませてくれるのかと思ったら、白原君はゴロンと私の膝に頭を乗せた。

「……普通、疲れてる私を膝枕してくれるんじゃないのかな?」
「え? だってこれ、男のロマンでしょ?」

私の意見を無視して、白原君はニコニコと笑った。

「思ったより枕が高いんだね」
「なっ……!」

ぐったりしているところへ、精神的な攻撃を浴びせられる。

「ど、どーせ私の足は太いですよ」

フンと顔をそむけて告げると、白原君はサラリと告げる。

「そんなこと言ってないよ」
「い…言ってるようなものじゃない!」

あまりに軽く返されものだから、睨みつけるように顔を向けると、

「でも、枕が高いってことはいいこともあるよ?」
「え?」

足が太くていいとなんてあるわけがない。 どんなことを言うつもりなんだろうと彼の言葉を待つと、

「だって、ホラ」

言って白原君の手が私のネクタイを引っ張った。

「亜貴ちゃんにキスできる」
「!??」

驚いてる間にすでに唇は触れていて、私は真っ赤な顔で固まってしまった。

「ね? いいことがあった」
「〜〜〜ッ」

ニコニコと笑う白原君に、私は何も答えられなかった。 まさか付き合って初めてのキスがこんな不意打ちだなんて思ってもみなかったからだ。

「怒ったの? 亜貴ちゃん」
「知りませんッ!」

そう言って私は頬を膨らませて顔をそむけたけれど、頭の中は白原君でいっぱいで、 具合が悪かったことなどすっかり記憶の中から飛んでしまっていた。



いや、そもそもの原因は白原君なんだけれど。
そんなことすら私の脳内は覚えていないのだった。




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リーディネタを白原君に置き換えみた(笑)