( あ、まただ )
視線を感じて顔を上げれば、公瑾さんが私を見ていた。
そんなことがニ、三度と続けば不審にも思うわけで、
「公瑾さん。私の顔に何かついてますか?」
仕事の手を止め、直接本人に確かめることにした。
Θ
熱視線 Θ
「目と鼻と口がついてますが」
私の顔を見つめたまま、公瑾さんは告げた。
「……そういう意味で聞いたんじゃないんですけど」
そう返せば、
「なら、どういう意味ですか?」
シレッと返された。
私は自分からこんなことを口にするのもどうかと思いながら、
「公瑾さんが私を見つめていたからです」
とおずおずと口を開くと、
「自意識過剰ですね」
と返されものすごく恥ずかしくなってしまった。
そのあとは「すみません」と小さく謝罪して、俯くしかない。
公瑾さんの顔なんて、とてもじゃないけど見れない。
「そんなに困った顔をしなくてもいいでしょうに」
俯いたままの私に、苦笑しながら彼は呟いた。
「あなたの言うとおり、見ていましたよ」
そしてあっさりと最初の質問に答えてくれた。
「なん…で、ですか?」
一度目は自意識過剰だと私をバッサリと切りつけて、
二度目はあっさりと認めて、公瑾さんが分からない。
「あなたのそういう顔が見たかったからです」
困惑する私にニコリと笑って、彼は口にした。
「好きな相手の困る顔を見るのが、好きなんです」
「……ッ!!」
そんなことを告げられた私は、公瑾さんの望むように更に困った顔を見せるのだった。
» Back
公瑾さんは好きな子を苛めてそうだなと思います。