玄徳さんを探して廊下を歩いていると、子龍くんに鍛錬中だということを教えてもらった。 せっかくだから見学させてもらおうと庭まで足を運んだのだけれど、彼の姿はどこにもない。

「行き違いになっちゃったのかな」

そう思って視線を廊下に戻そうとしたところで、木の近くで何かを見つけた。 木の陰ですやすやと眠る玄徳さんがいたのだ。





Θ 夢であえたら Θ





つんつん、とその頬をつついてみたけれど、疲れているのか彼は起きる気配がなかった。

( お、面白い…… )

大の大人をつつく機会などそうそうない。 キョロキョロと辺りを見渡して誰もいないことを確認すると、つんつんと再び頬をつついた。

「……ん」

つつきすぎたのか、玄徳さんの眉間にしわが寄った。

「ごめんなさい」

もう少し寝ていてもらおうと今度はそっとその髪を撫でてみた。

「わぁっ」

意外と柔らかい感触は、病み付きになりそうだった。

( 玄徳さんもこれが好きでよく撫でてるのかな )

小さな子供のするように、いい子いい子と頭を撫でていると、 玄徳さんがふわりと微笑んだ。何かいい夢でも見ているのだろうか。 彼が笑っているだけでなんだか私まで嬉しくなってしまったのに、

「……は、な」

掠れた声で呟かれたのは間違いなく私の名前で、 私の夢を見てこんなにも嬉しそうな顔をしているのかと思ったら、 ものすごく嬉しくなってしまった。 彼が目を覚ましたら、どんな顔をしたらいいのだろう。 そんなことを考えていると彼が「んんっ」と唸って、今にも起きそうな気配がしたので、 私は慌てて彼の隣に腰を下ろすと肩に頭を預けて目を閉じた。

「…………」

目を閉じたまま暫く様子を伺っていたけれど玄徳さんが目を覚ます気配はなくて、 せっかくだから私も一緒にお昼寝させてもらうことにした。



彼と同じ夢を見て、目を覚ましたときも彼が隣にいることを願いながら。



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玄徳さんは目を覚まても花が寝てるのを見てそのまままた寝てるといいよ