「キスして……いいか?」
人の顔を見るなり唐突に仲謀はそんなことを口にした。
Θ
Kiss! Kiss!! Kiss!!! Θ
思わず幻聴かと思って聞き流すと、ガシッと腕を掴まれてしまった。
「てめぇ、朝からシカトかよ!!」
「仲謀こそ朝からなに馬鹿なこと言ってるの!!」
そう言ってそのまま仲謀の前を通り過ぎようとすると、
「馬鹿とはなんだ。一週間ぶりに戻った恋人に対して冷たいんじゃねぇのか?」
と返されてしまった。
仕事で暫く会えない日々が続いて、私も早く仲謀に会いたかったのに、
開口一番の台詞がアレはないだろう。
「仲謀こそ、もっと他に言うことがあるでしょう?」
したいかしたくないかで言われれば、そりゃ私だってしたい。
けれど、そんなほいほい出来るものではないのだ。乙女には心の準備ってものがある。
なのに、
「なぁ、マジで。一瞬でいいから」
掴んだ腕を引き寄せて仲謀は口を開いた。
そのまま仲謀の腕の中に閉じ込められ、
「お前に会うのも久しぶりなんだし」
そんなことを入れては、否定の言葉は出てこない。だってやっぱり仲謀に会えるのは嬉しいのだ。
「……キスしていいだろ?」
甘く囁かれてはもう何も考えられなくて、
「拒否しないってことは、いいんだな」
ニヤリと笑う仲謀の声にハッと我に返った時には遅く、彼の顔が目の前に迫っていていた。
もちろん一度きりでは済まなくなった仲謀が何度も何度も口付けるせいで朝議に遅刻して、
私が公瑾さんに怒られるのはこれが初めてではなくて、
大喬さんと小喬さんにからかわれるのもいつものことだった。
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仕事で離れるたびに仲謀は花補給してればいいです。時間帯問わず!!