真朱さんのサイトの伯大妄想の【07:兄、覚醒】より
唇が触れた瞬間、それまで聞こえていたはずの雨音が一切聞こえなくなっていた。
雨は相変わらず降っていたけれど、意識が全て伯符に持っていかれたからだ。
私の両目には伯符の顔しか映っていなくて、
唇が離れたあとも馬鹿みたいに彼を見つめることしか出来ないでいた。
Θ
awakening Θ
「夫婦になるんだ。そろそろこれくらいはしてもかまわないだろう」
そんな私に、伯符は静かに告げた。
その言葉の意味は私だって分かってる。
そもそも「妾になる」と言ったのは私自身だ。
けれど、今まで私をそういう対象にしてこなかった伯符が急に私を女として見るから、
どういう反応をすればいいのか分からなくなる。
「伯、符。変なもの……食べた?」
冗談なのか、本気なのか。
真意を問うように伯符を見つめながら尋ねてみたけれど、
「いや」と彼は表情も変えずに答える。
「だって……。私、子供だよ?」
「年が何だ」
「身長だって低いし」
「屈めば問題ない」
「む、胸だって小さいし」
「揉むから気にすんな」
「えっと、えっと……」
必死に次の言葉を探す私に、
「嫌、なのか?」
捨てられた子犬のような顔で、伯符は尋ねる。
きっと耳があったなら、今はしゅんと項垂れていたことだろう。
「だって。私なんかより綺麗な人、いっぱいいるもん」
嫌なわけではない。
けれど彼の周りには私なんかより綺麗な女の人がたくさんいて、
いつかこの関係が終ってしまうんだと思っていた。
だから終わりが寂しくないように、ままごとのような関係を貫いた私に、
「大喬がいいんだ」
伯符はまっすぐに私を見つめて告げた。
「俺は、大喬が好きだ」
伯符からの告白に、泣きたくもないのに泣きたくなってしまった。
涙を隠すようにガバッと伯符に抱きついて
「伯符ー」
「ん?」
「私も、伯符のことが好きだよ」
涙と一緒になって溢れた気持ちを口にした。
その瞬間、伯符は何度も「ホントか?」と確認をするから、
背伸びしながら伯符の髪をひっぱって今度は私から口付けた。
「これで信じてくれる?」
気恥ずかしかったけれど、
好きな人にはちゃんと気持ちを知ってて欲しいから顔を上げてそう告げると、
「いや、舌も入れてくんねーとわかんねーからもう一回」
なんて言って、私の返事を待たずに伯符は口付けるのだった。
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