Θ ふたりのエチュード (※学パロです) Θ
卒業式が目前に迫ったある日の放課後。私は屋上に呼び出されていた。
呼び出した相手はよく知る相手−平助君。
真っ赤な顔でジッと私を見つめるものの、なかなか口を開くことが出来ないようだ。
まるで告白されるようなこのシチュエーションだけれど、私たちの関係はただの幼馴染だ。
私はずっと平助君に片想いをしているけれど、平助君はまったく気づくそぶりもないのだ。
更には「告白した経験がないから練習台になってくれ」と、
平助君に片想いしている私に言うのだ。鈍いにもほどがある。
それでも練習とはいえ他の子に「好きだ」なんて平助君が言うのは耐えられない私は、
「仕方ないなぁ」なんて笑って了承していた。
そんな彼は意を決したように再度顔を上げる。そして
「好きだ」
金魚だってこんなに赤くはないだろうと思うぐらい真っ赤な顔で平助君は告げた。
きっとこの先私にこの言葉を告げてくれる日はないんだろうなと思ったらちょっと目頭が熱くなってきたけど、
「なんかドキドキしちゃったよ」
努めて明るく私は告げた。
ここで泣いたりなんかしたら平助君を傷つけてしまうから、
「平助君に告白されて困る女の子はいないよ」
と背中を押すようにエールを送った。
すると
「オレは、練習とはいえ好きでもない相手に好きだなんて言わねぇよ」
と拗ねたような口調で告げられた。
「…………え?」
その言葉を理解するのに時間がかかってしまった。
理解したと同時に私の顔が熱を帯びていくのを感じた。
あぁ、鈍いのは私の方じゃないかと感じながらも、
「私もだもん!」
負けじと愛の言葉を口にして、私は彼の胸に飛び込んだ。
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