Θ ポッキーゲーム (※学パロです) Θ
目の前にはポッキーを咥えた原田先輩。
いつも優しいこの人が、今日は少しだけ意地の悪い笑みを浮かべている。
「今日はポッキーの日、なんだってな」
そう言ってたのは昼休みが始まってすぐのこと。
もちろん知っていた私は、ポッキーの箱を持っていて先輩に一本差し出す。
「なぁ、ポッキーゲームって知ってっか?」
「えと…、ちょっと前にCMでやってたやつですか?」
端と端を咥えて、お互いにポッキーを食べるゲームだ。
「知ってんなら話は早ぇな」
言って先輩はポッキーを口に咥えると、
「千鶴が食って俺にキスしてみろよ」
なんて笑うのだ。
私と先輩は一応お付き合いをしているわけで、
キスなんて今更な関係だけれど、私からしたことはない。
「ほれ。これぐらいなら千鶴でもできんだろ?」
言われて私はおずおずとポッキーを口に含んだ。
目の前にはポッキーを咥えた原田先輩。
いつも優しいこの人が、今日は少しだけ意地の悪い笑みを浮かべている。
「早く来いよ」なんて目が言っているのは分かる。
「………ッ」
カリッとポッキーを噛みながら、少しずつ近づく。
いつもはパリポリとなんら抵抗なく食べられるポッキーが、今日は 1cmずつしかすすまない。
近づくにつれ、自分の顔が赤くなってるのもわかるけれど、どうしようもない。
「…………」
いつもよりぐっと縮まった距離ですらドキドキしているのに、自分からとかやっぱり無理だ。
恥かしくて死んでしまう。
半分ぐらい進んだところで恥かしさがピークになり、動けなくなってしまった。
困ったように視線を向けると、先輩が笑ったような気がした。
そして、
「しょうがねぇなぁ」
と呟くと、ゆっくりと彼の顔が近づく。
思わずぎゅっと目を瞑ったものの、先輩がポッキーを食べる振動がそのまま私の唇に伝わり
いつも以上にドキドキする。
目の前に近づいた先輩の気配に、ぎゅっと瞑った目に力を入れたものの、
それ以上近づく気配はない。
「…………?」
諦めたのかとそっと目を開けると、ニヤリと笑う先輩がいてそのまま唇が塞がれた。
いつもより甘い唇に、チョコより早く私の方が溶けてしまいそうだった。
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