「趙雲の馬って、ほんと綺麗よね」

散歩のついでに趙雲の馬に触れるのが、私の日課になっていた。 そっと馬の背中を撫でると、気持ちいいのか馬は目を細める。こんな綺麗な毛並みの馬をわたしは他に知らない。

「愛情をこめて育てたからかな」

趙雲はそう言って悪戯っぽく笑ったけれど、きっと実際にその通りなのだろう。 心優しい趙雲に世話をしてもらえて、ここの馬たちは幸せに違いない。



Θ ふたり Θ





「わたしも馬だったら良かった」

ポツリと、そんな言葉が漏れた。

「ん?」
「だって。わたしも馬だったら、趙雲にずっとお世話してもらえたでしょ?」

優しく頭を撫でてもらって、美味しいご飯を食べさせてもらって、戦の時は彼のために地を駆ける。 曹操に無理やり戦に巻き込まれたわたしにとっては、ここの馬たちの方が何十倍も幸せに見えた。 そんなわたしの言葉に、趙雲は「それも楽しそうだな」と頷いたけれど、

「俺はお前が馬じゃなくて良かったと思っているぞ」

真っ直ぐにわたしを見つめてそんな言葉を口にした。




「こうして言葉を交わせるし、こんな風に触れることもできる」

趙雲はわたしに近づくと、そっと抱き寄せた。

「趙雲?!」

驚くわたしの首筋に顔を埋め、そっと唇を寄せた。

「こんなこと、馬だったらできないだろう?」

耳元で囁かれ、一気に顔が熱くなった。

「それでもまだ馬の方が良かったなんていうのか?」

その問いに私は首を左右に振った。

「なら、もっと二人で出来ることを確認しあおう」

にっこりと嬉しそうな笑顔で彼が告げるから、拒否するという選択肢は私にはなくて、 言葉の代わりにそっと目を閉じた。



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毎回馬相手に嫉妬してます(笑) ED後の二人の日常はこんな感じかなと。