「ほんとおまえって、甘いもん好きだよなぁ」

晩ご飯を途中で切り上げて、モグモグとドーナツを食べる私を見つめながら、 レインは呆れたように口を開いた。



Θ あまいふたり Θ





「こう…いうの……って、……んぐ……、あまり……食べ…た……こと……、ない……から……」

小さくなったドーナツを口に押し込め、モグモグと口を動かす。 更にもう一つ食べようと手を伸ばしながら答えると、

「あー…いい。おまえはもう返事すんな。食ってろ」

レインは会話を切り上げて、ため息をついた。 そけから、モグモグとドーナツを口に運ぶ私をあわれそうに見つめる。

「?」

視線に耐えかねて、目で問いかけると、

「いや。毎回そんだけ甘いもん食ってんのに、肉付きが悪ぃなって。その……胸とか胸とか胸と……いでっ!!」

そう言ったレインが、ガタンという音とともに涙目になった。

「いってーな、ナイヴス」
「おまえが失礼なこと言ってるからだろ」
「失礼なことじゃねーよ。事実だ! って、あっちー」
「あー、ごめんレイン。手が滑っちゃった」

にっこりと笑うシャンタオの手には、空になった湯のみが握られていた。 そんな様子を眺めながらもモグモグとドーナツを頬張る私を見て、

「食ってねーで助けろよ! 仮にも俺の女だろ?」

レインは叫んだけれど、

「きっとおねーちゃん。戦い疲れで正確な判断ができていないんだよ」

シャンタオが満面の笑みでその問いに答えていた。





夕飯を終え、私の部屋にはレインが居た。 相変わらず一人で眠れない私のために、毎晩寝る前に来てくれるのだ。

「つーか。おまえに足んないのは色気だ、色気」

先ほどの食欲を見ての反応だろうか。 部屋に来るなりレインはそんなことを口にした。

「?」

首を傾げる私に、

「だから、甘いもんがたりてねーんじゃないかってことだ」

とレインは告げる。

「ドーナツはたくさん食べてるよ?」

色気と言ったのに何故甘いものなのか分からずそう答えると、

「だから、そうじゃなくて〜〜〜ッ!!」

と言ってレインは不意打ちでキスをした。

「こういう甘いもんが必要だっつってんの!!」

それからベッドに腰掛けると、

「来いよ、ナスカ」

両手広げて私を呼び寄せた。 先ほど甘いものは満足できるだけ口にしたけれど、私の別腹はまだまだ空いているようだ。

「うん」

にっこり笑ってレインの膝に座ると、食後のデザートを堪能するのだった。




» Back

ドーナツも好きだけれど、こっちの甘いのも大好き! バカップルな感じで