「愛想悪いぞ」とレインが言ったから、私はなるべくレインの前では笑うようにしていた。
なのに、
「気色悪いんだよ。馬鹿の一つ覚えみたいにヘラヘラしやがって」
とレインが言うから、少しだけ傷ついた。
Θ
スマイル Θ
「だって、レインが言ったんだ」
ポツリと口をとがらせそう反論すると、
「あ?」
レインは顔をあげて私を見つめた。
「愛想が悪いって」
「あー、んなことも言ったな」
レインには大した意味はなかったかのように言われて、またチクリと胸が痛む。
けれどめげずに私は口を開いた。
「それに……、私の笑った顔、良いって言ってくれた」
「辛気くさいつらされるよりましって意味だ」
「でも、……嬉しかった」
そう言って微笑むと、
「無理して笑うな」
レインに怒られた。だからつい、
「無理なんかしてない」
私も声を荒げて反論した。
その反応が意外だったのか、
「あ?」
不機嫌そうな声を上げながら、レインは私から視線をそらさない。
「レインといると、ほっとするから」
「ほっとすると笑うのかおまえは」
バカか、と続けられたけれど、
「うん」
素直に答えると、
「じゃ、…………仕方ねーな」
諦めたようにレインは呟いた。
そんな彼の顔はほんの少しだけマントと同じ色に染まっていて、
「こ、こっちみんなバカ女!」
再びバカと言われてしまったけれど、
レインが照れているんだと思ったら嬉しくて自然と笑みがこぼれた。
「なんだ、そういう笑い方もできんじゃねーか」
「え?」
私の笑顔を見たレインが、
「いいな、悪くない」
なんて言ってほほ笑むものだから、
「あ、あんま見ないで。反応に困る」
私の顔までじわじわと真っ赤に染まってしまって、レインと同じようなセリフを口にしていた。
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レインの照れる顔が好きです