レインは私と出掛ける時、決まってアイスを買ってくれる。 私が物欲しそうにアイスを見つめるからだとレインは言うけれど、 私はレインがやさしいからだと理解している。



Θ 甘く溶ける Θ





「ほんっとにお前、よく食うよな」

隣でモクモクと食べる私を見つめて、レインは口を開いた。

「毎回同じ味で飽きねーのか?」

初めて買ってくれたのと同じアイスを私は食べ続けている。

「だって……、おいしい」

そう言ってトッピングのフルーツを口に運ぶ。甘くて口の中から幸せが広がって、笑みがこぼれる。

「んな幸せそうに顔されても、安もんだぜ?」
「値段なんか関係ないよ」

バウンティアにいたころから、食べ物に関心がなかった。 だから、値段なんて私の判断基準にはならない。

「レインが買ってくれたから……、レインと一緒だからおいしい」

そう言ってパクッとアイスを口に運ぶ。 そんな私を横目で眺めながら、

「そんなもんか?」

とレインが言うから、

「レインも同じのを一緒に食べてみればわかるよ」

私は答えた。

「んな、大量に食えっか」
「そうかな」

私としては、もっと量があってもいいぐらいだ。

「そーだ」

レインはそう言って、ピコンと私の額を小突いた。 軽い衝撃だったから、「痛ッ」と悲鳴を上げてもネロは現れなかった。

「っつってもまあ……、一口なら味見してもいいけど」

そういって近づくレインの顔に、以前の出来事を思い出した私は慌てて空いた手で頬を押さえた。 けれど

「バーカ、こっちだ」

レインが触れたのは私の唇だった。





「……やっぱ嫌がんねーんだな」

初めて買い物に出かけたときだったら、きっと驚いて距離をあけただろう。 それを見て、ネロも敵だと判断したに違いない。 けれど、今の私はレインに何をされても嫌がることはない。

「だって…レインだもん」
「あ?」

私の反応が予想外だったのか、レインは眉をあげて私を見つめる。

「レインがすることなら、私は……その、嫌じゃない」
「んな可愛い反応されっと、キスだけじゃ済まねぇぞ」

驚いて顔を上げると熱っぽい視線のレインとぶつかった。

「え? あの……、ちょ……、今、外……」

慌てて口を開くと、

「ばーっか。俺もこんな真昼間でお前を襲ったりしねーよ」

再びピコンと額をでこぴんされた。 そのことにホッとしている私の耳元で、

「続きは今夜、ベッドの上だ」

なんてレインがささやくから、アイスより先に私の方が溶けてしまいそうなぐらい顔が熱くなった。




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アイスのイベント大好きです^^