「体調はどうですかー?」
いつものように間延びした声でレインは私の部屋を訪ねてくれるのだけれど、
私はレインの顔が見れずにいた。
「あれあれあれー? ご機嫌斜めですかー?」
そんな私の顔をレインは覗き込むのだけれど、私はサッと顔を逸らしてしまった。
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ウソツキウサギ Θ
それでもレインは私の変化を目敏く見つけ、
「顔が赤いようですけど、風邪でも引きましたか? 気をつけて下さいねー」
心配そうに笑みくもらせた。
けれど、顔の赤い理由が風邪ではないと知ってる私は、
「ち、違うの。これは風邪じゃなくて」
と口を開きかけて、その先の言葉を飲み込む。
「風邪じゃなくて? なんですか、教えて下さいよー」
レインは本当に分かっていないのか、首を傾げながら私の言葉を催促した。
「風邪……じゃなくて、その、レインの顔が見れないって言うか……」
「え? この顔、撫子くんの好みじゃないですか?」
私の言葉にレインはショックを受けたように口を開き、
「顔まで否定されたな。お前、よっぽど見るに耐えない顔してんだぜ」
カエルくんはそんなレインに更にきつい言葉を浴びせていた。
その言葉に、レインは「撫子くんはボクを否定してばっかりですねー」と苦笑する。
「ち、違うの。そうじゃなくて……」
慌てて口を開いた私は、ちらりとレインの顔を見つめた。
私の視線に気づいてレインはにんまりと笑ってくれたのだけれど、
私は直視できなくてまた視線を逸らしてしまった。
「あー、傷つくんですよ。それ」
「ごめんなさい。でも、レインの顔を見るのはやっぱり恥ずかしくて」
顔を伏せたままもごもごと告げれば、
「え? ボクってそんな恥ずかしい顔してました? いやーまったく自覚がないんですよー。すみません。今度整形でもしたほうがいいのかな。うーんでも……」
と、レインは勝手に話を進める。
私の伝えたい言葉とはどんどん違う方向に話が進んでしまい、
私は恥ずかしさを我慢して直接言葉を告げることにした。
「違うの。ほら、元の世界で私、普通に着替えとかしてたじゃない?」
「あー、はい」
「すごく恥ずかしいことしてたんだなって自覚したらちょっと気まずくて……。
だからレインが悪いとかそういうのじゃないの」
告げるとレインは「わかってますよー」と告げた。
「まぁ、ボクはキングじゃありませんしー。小学生の撫子くんの生着替えとか興味ありませんので、
忘れた方がいいですよー」
レインの明るい言葉に、なぜか私の胸は痛んだ。それが顔にでてしまったのだろう。
「あれあれあれー?」
楽しそうなレインの言葉が聞こえた。
「君はボクに興味もってほしかったんですか?」
そう言いながら、レインは私に近づいた。
「まぁ、今の撫子くんなら十分興味ありますけど」
「……え?」
驚いたときにはレインがすぐそばにたっていた。
「キングに恨まれますけど、撫子くんがボクを選んでくれるなら、それはそれで良いと思ってるんですよ」
本心なのか冗談なのかまったく分からない笑顔を浮かべたまま、
レインは私の髪に指を絡めるとそっと髪に口付けた。
私をずっと騙していた彼の言葉なのだから、冗談だと聞き流してしまえばいいのに、
私の心臓は期待しているように加速を続けた。
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レインルートが欲しかった!!