Θ 星空デート Θ




長いと思っていた恋愛合宿もあっという間に終わりをむかえた。 少しの寂しさを感じながら荷造りしていると、番長が夜の散歩へと誘ってくれた。 すぐに了承すると、私は番長と一緒に海辺を歩くことにした。





「砂の上は歩きづらいから、ほら」

そう言ってさりげなく繋いでくれた優しさに、私はいつまでたっても慣れなくてくすぐったく感じる。 私の恋愛のいろはを教えるためだと理解しているのに、番長と手を繋いでいるんだと意識するだけで、顔が熱くなってきた。 それに、いつもは饒舌な番長が黙ったまま歩くから、余計にその熱を強く意識して、変わりに私の心臓の音がうるさいぐらいに騒いでいた。



「見てみろよ。星がすごくきれいだ」

その言葉に顔を上げれば、満天の星が広がっていた。

「ほんとだ」
「せっかくのデートなのに、地面ばかり見てちゃ、もったいないだろ」

番長の言葉に私の心臓はいっそう騒ぎ立てた。

( そ、そっか。これもデートって言うんだ )

意識したら余計に恥ずかしくなってしまった。

「そういえば、今日って七夕なんだよね」
「そーそー。だからほら、きっとこの星空のどこかで織姫と彦星もデートしてるよ」

番長の言葉にデートする二人を想像しながら星を眺めていると、「あっ!」と、番長と同時に声を上げていた。 キラッと、夜空を星が流れたのだ。 すぐさま目を瞑って願い事をした私に、

「そんなに熱心に、エンジェルは何を願ったんだ?」

番長は尋ねる。 そっと目を開けた私が、「秘密だよ」と笑うと、

「俺に言えばラブッと解決すると思うんだけど、気のせいかな?」

と彼も笑った。

「さぁ? どうかな」

クスクスと笑って答えをはぐらかせながら、私は繋いだ手をぎゅっと握りしめた。 臆病な私はまだこの気持ちを口にする勇気はないから、今はまだ、これが精いっぱい。



「……番長」
「ん?」
「耳、真っ赤だよ」
「き、気のせいだって」


番長の意外とテレ屋なところも私はすごく好きで、こんなやり取りをする時間が大好きだった。




願わくば。
来年も私の隣に番長がいてくれますように。





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オトパの妄想デートをラブッとパクッたらこうなった。