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ラブレター Θ
恋愛経験ゼロの私が、どういうわけか生まれて初めてラブレターを貰った。
一応私にはツンデレ君という彼氏がいるわけで、こんなときどうしたらいいのか分からない私は、ツンデレ君にラブレターのことを告げた。
すると彼は
「俺に関係ねーだろ。好きにしろ」
と言い放ったのだ。
「……好きにしろって、普通彼氏の台詞じゃないよね」
売り言葉に買い言葉と言うやつで、『じゃぁ勝手にするよ』なんて言って、私はラブレターの主に会うことにした。
ツンデレ君が止めてくれるんじゃないかと心のどこかで期待していたけれど、その期待は見事に裏切られた。
「……はぁ」
自分から言い出したくせに、その足取りは重い。
やっぱり行くのをやめてしまおうかと方向転換すると、思わぬ人物が目に付いた。
「ツン…デレ……君」
心配してついてきてくれたのだろうか。思わず嬉しくなって笑みを浮かべる私に、
「行くんじゃなかったのかよ」
ツンデレ君は目をそらしたまま口を開いた。
「べ、別にお前が気になってついてきたわけじゃないぞ」
まだ何も言っていないのに、彼は言葉を続ける。
「その、たまたまこっちの方に用事があってだな」
その姿がなんだかおかしくて、私はふふっと笑いを零してしまった。
「な、何が可笑しい」
「だって……」
そうなのだ。私の彼氏はその名前の通りツンデレなのだ。いくら冷たいように言葉を言っても、本心ではない。
「ツンデレ君が可愛いから」
にっこりと笑って告げると、彼は心外だとばかりに反論の言葉を告げたけれど、真っ赤な顔では説得力なんてものは半減だ。
私の彼氏はものすごく分かりにくいけれど、ものすごく可愛い人だと再認識した。
「ツンデレ君、私、やっぱりラブレターの主に会ってくるよ」
私の言葉にツンデレ君は「何でそうなる」と目で訴えてきたけれど私の気持ちは変わらない。
だって気持ちは嬉しいけど、私には素敵な彼氏がいるから答えられないとその人にちゃんと言ってあげたいからだ。
「ツンデレ君が好きで好きで大好きだって、言ってくる!」
そう言うとツンデレ君はやっぱり真っ赤な顔をした。
恋愛できない体質だなんて思っていたけれど、そんな日々をツンデレ君が変えてくれた。
そんな私をラブレターの主は好きになってくれたんだと思うから、私は今すぐにでもこの思いを伝えるため走り出した。
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まだツンデレ君やりはじめなんですがこんなイメージ。