「御使い様って、なんだか危なっかしいよね」
そう口を開いたのは瑠璃丸くんだ。
Θ
黄昏笑う、君の声 Θ
秋夜の手伝いで薬草をとりに着た私たちは、
山の中でしゃがんでお喋りを見るのはここ数日の日課だ。
「そうかな?」
首を傾げた私の横で、瑠璃丸くんはクスクスと笑う。
「だって、手に持ってるそれ。毒草だよ?」
「ええっ!?」
驚いて手を離すと、
「ほら。すぐ騙されるし」
彼はクスクスと笑う。
「だ、騙したのね」
「騙されるほうが悪いんだよ」
そう言った彼の肩で、そうだと言わんばかりにお猿さんまで「キキッ」と鳴いた。
私は真っ赤な顔を俯かせ、ブチブチと地面の草を引っこ抜く。
「最初はね。姉上が出来たみたいで嬉しかったんだ」
ポツリと漏れた言葉に顔を上げた。
そこには照れくさそうに微笑む瑠璃丸くんがいた。
「でも、御使い様があまりに危なっかしいからさ。護って上げなきゃって思うようになったんだ」
真っ直ぐに見つめるその視線は、年下の少年のはずなのにどこか頼りがいがあって、
ドキンと心臓が跳ねたのを感じた。
「そ、そっか。えと……なるべく迷惑かけないようにするよ」
パッと視線をそらしてそう告げると、横からクスクスという笑い声が聞こえた。
「御使い様」
「……何?」
顔を向けずに口だけで返事すると、
「真っ赤だよ」
何がとはあえて言わずに瑠璃丸くんは口を開いた。
「オレの前だからいいけど、他の奴の前でそんな顔しないでよ」
そんなことを言われてもこの時代には鏡なんてなくて、
自分がどんな顔をしているのか分からない私は、ただただ顔を赤らめ俯くのだった。
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将来が楽しみです(´▽`)