Θ 好きの魔法 Θ




「ねぇ、ルル。すごく重要な質問なんだけど」

と、ユリウスが大まじめな顔をして口を開いたので、 私は口に運びかけていたマカロンをお皿の上に置いて身構えた。 それなのに、

「君はマカロンと俺。一体どっちが好きなの?」

続けられた言葉に耳を疑った。 そもそもユリウスとマカロンを比べた事なんてない。

「ユリウス、比べる対象が何か違う気がするわ」

私の言葉に、「そんなことない」と彼は告げた。

「俺と一緒にいるのに、ルルはマカロンに夢中だ」

その言葉は事実だった。けれど、この現状を作ったのはユリウスだ。

「それならユリウスだって。せっかく二人で食べようとマカロン買ってきたのに魔導書に夢中で構ってくれないわ」

尖らせた唇にマカロンを運ぶと、ユリウスは大きく瞬きした。そしてパッと笑みを浮かべると、

「それって俺たちお互いに妬いてたってことなんだね。 つまりルルは俺に構ってほしくて、俺もルルに構ってほしくて。 お互い同じ気持ちだって分かったら嬉しくてたまらないんだけど、この場合ってどうしたらいいのかな」

と一気に捲し立てた。 それが魔法に夢中なときのユリウスに重なって何だか面白い。 そのまま放っておくと、ユリウスは延々と自分の考えをしゃべり続けることは目に見えていたから、 そんな彼の口にマカロンをねじ込むと

「とりあえず甘いものを食べて笑えばいいと思うの」

そう言ってにっこりと微笑むのだった。

( すごいよ、ルル。笑っただけでお互いの気持ちが伝わってくるみたいだ!! )
( 今日はいったいどんな魔法を使ったの? 意味が分からないよ!! )




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