「お嬢、今日の帰りはオレと一緒に白樺町でデートだぜ」
そう言って、ブルーノ先生はたびたび私をお茶に誘ってくれる。
毎回私は断るのだけれど、
「かわいいジャポネーゼガールと町でうまいもん食おうって算段だから気にすんな」
と彼は眩しい笑顔で笑うのだ。
「デ、デートなんて……こ、困ります」
ブンブンと両手を振って断るのだけれど、
「嫌よ嫌よも好きのうちってやつか。
そいつはジャポネーゼガールのイエスと同じだって本で読んで知ってるぜ」
その手をガッシリとブルーノ先生に掴まれてしまうのだ。
( な、なんて本を読んでるんですか……!! )
困惑する私をそのままに、
「でっかいパフェの予約してあっから気にすんな」
ブルーノ先生は真っ白な歯を見せて笑うのだった。
Θ
甘いのはお好き? Θ
「いつもいつもすみません」
結局押し切られるような形で、私は毎回ブルーノ先生と紅サントレアへと足を運ぶ。
店に入るなりすぐに予約していたパフェが運ばれ、恐縮していたはずの私はすぐに顔を緩めてしまう。
「いつも頑張ってるお嬢へのご褒美ってやつだ。気にすんな」
ブルーノ先生はおしぼりで手を拭くと、パチンと両手を合わせて「いただきます」と口にした。
私もそれに習って「いただきます」と告げると、パフェを口に運んだ。
「どうだ?」
「〜〜〜〜ッ」
もう何度もブルーノ先生に誘われて口にしている味なのに、何度食べても感動は薄れない。
「お、おいしい……ですッ」
「お嬢の顔みりゃ一目瞭然だな」
「ブルーノ先生も早く食べてみて下さいよ」
「おう」
ブルーノ先生がパフェを口に運ぶのを思わず目で追いかけてしまった。
「確かに、お嬢の言うようにうまいな」
「ですよね」
それから他愛ない会話を楽しみながら、私はパフェを堪能した。
「はー、うまかったな」
「ご馳走様です」
お会計を済ませてお店を出たところで、私はぺこりとブルーノ先生に頭を下げた。
「いいって。かわいいお嬢とデートできたんだからな」
「かっ……!」
ブルーノ先生のこういうストレートな物言いに慣れていない私は、
冗談だとわかっていても毎回頬を赤らめてしまう。
「かわいいだろ。頬っぺたにクリーム付けてんの気付かないぐらいパフェに夢中なんだからよ」
そう言って彼の大きな手が伸びたかと思うと、指先で私の口元を拭った。
そしてそのままペロリと自分の指を舐めるブルーノ先生を見て、私は再び顔を真っ赤にさせる。
「いつかオレに夢中にさせてやっから、楽しみにしてろよ」
眩しいぐらいの笑みで笑ったブルーノ先生は
「それじゃ、帰るか」
と言って大きな手を差し出した。
その手に何の迷いもなく自分の手を重ねてしまった私は、
たぶんきっと、パフェよりブルーノ先生の方が十分気になっているはずだ。
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ご褒美と称して毎回デートしてほしいです。