「あたし、おっきくなったら、パーチェお兄ちゃんのおよめさんになるー!」
「えー、ずるいー。あたしがなるー」

子供たちはそう言ってパーチェの手を左右から引っ張っていた。 そんな様子を見て、別の子供が面白くなさそうに口を挟む。

「ばっか、パーチェ兄ちゃんは、エラい人だかり無理なんだよ」
「そんなことないもん! お兄ちゃん、やさしいから大丈夫だもん」

言われた子供が反論すると、

「おまえみたいな子どもは相手にされねぇよ!」

即座に言い返され、

「うわーん…… 」

子供は泣き出してしまった。





Θ ジェローゾ Θ





そんな様子を、私は以前にもあったなぁ……なんて思いながら眺めていた。 泣き出されたパーチェは困ったように目尻を下げて口を開く。

「ほらほら、泣かないでー。みんなで、お嬢が作ったリモーネパイ食べようよ」

けれど、そんな言葉につられるのはパーチェぐらいで、

「パーチェ兄ちゃんからもけっこんはムリだっていってやれよ」
「そんなことないもんねー」
「あたしとこのこ、どっちかえらんでハッキリさせてよ」

子供たちは口々にそんなことを告げる。

「えぇぇ?! お、お嬢〜」

そんな様子に彼は困ったように私に助けを求めるのだけれど、フンと私は顔をそむける。 だって、教会に来るたびいつもこうなのだ。 パーチェはあっという間に子供たちに囲まれ、毎回結婚をせがまれる。 そんな様子を、私はポツンと見つめているのだ。 わざわざ私まで同行する必要があるのかと毎回思うのだけれど、何故かパーチェは私を誘うのだ。

「ねぇ、どっち?」
「あたしだよね」
「りょうほうムリだっての!」

子供たちに問いただされ、

「ああ、もう、わかったわかった」

降参したようにパーチェは口を開いた。

「みんなのきもちは嬉しいけど、おれはあのお姉ちゃんが大好きだから、みんなと結婚できないんだ。ごめんねー」

その言葉に、思わずパーチェを蹴飛ばしていた。 子供相手に何を言っているのだ。もっと別の断り方があるだろう。 そう頭では思っているのに、

「お嬢……顔真っ赤だけど、もしかして嬉しいの?」

パーチェに指摘されて、更に顔が熱くなるのを自覚した。 そんな私たちの様子を見ながら、

「いつもおこってるからお兄ちゃんのこときらいだとおもってたのに」
「ばーか。おまえらが兄ちゃんとるからおこってたんだろ」
「なーんだ。ふたりはそーしそうあいってやつなのね」

何て子供たちの会話が聞こえてきたものだから、

「お嬢、おれのこと好きなの? ほんとのほんと?」

嬉しそうにパーチェが笑うものだから、何故だか悔しくて私はパーチェをさらに蹴飛ばすのだった。




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子供相手にヤキモチ妬けばいいよ。(Geloso:嫉妬)