Everlasting Flowers



「藍澄ちゃーん。こっち、こっち」

藍澄が待ち合わせに駆け寄ると、それを見つけたヴィオレが腕を振りながら声をかけた。 けれど藍澄の姿を見つけると、ピタリとその動きが止まってしまった。

「遅れてすみません……。ヴィオレさん?」
「いや…その……。浴衣、着てきたんだ」
「あ、はい」
「浴衣着てる藍澄ちゃんって、なんつーか……」

マジマジとつま先から頭のてっぺんまで視線が行ったり来たりするものだから、 藍澄は困ったように視線をそらした。

「に、似合わないのは知ってますよ」
「違う違う。色っぽくてビックリした。ヤッベ。超嬉しいんだけど、オレ」
「そ、そうですか?」
「ほんとほんと。他のヤツに見せるのがもったいねーくらいだよ」

そう言ってヴィオレは藍澄の手をとると歩き出した。

「オレの腕の中に閉じ込めておきてーけど、今日は花火見る約束だしな」
「ふふっ。みんな花火に夢中で私なんか見てませんよ」

そんな話をしながら、二人は花火が見える場所まで歩いた。





「うわぁ、今のも綺麗ですね」
「……あぁ」
「あっ、こっちのはハート型だ。可愛い」
「……あぁ」

気のない返事のヴィオレを怪訝に思いながら藍澄が視線を送ると、 彼はマジマジと藍澄を見つめていた。

「ヴィ、ヴィオレさん、花火見てくださいよ」
「んなもんより藍澄ちゃんのが綺麗なんだからしゃーないじゃん」
「〜〜〜ッ」

ニッと満面の笑顔でそんなことを言われ顔を赤くした藍澄の頬に、ヴィオレはチュッと唇を寄せた。
「んなっ! なんてことするんですか!」

慌てて頬を手で押さえヴィオレに告げると、

「大丈夫。みんな花火に夢中でオレたちのことなんて見てねーよ」

そう言って今度は唇を重ねた。 ドーン、ドーンという花火の音を聞きながら、二人は甘い口付けに酔いしれた。



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(ヴィオレさんは平気でこういう発言をすると思う///)