Hi! Sugar! Sugar! Baby!
「藍澄ちゃーん。今日なんか、機嫌悪くねー?」
「すこぶる悪いですよ」
「マジ? なんで?!」
「これ見てたらいろいろ思い出しちゃったんです!」
そう言って藍澄は一枚の写真を指差した。
それはエリュシオンを降りてすぐに艦内のクルーたちと撮った最初で最後のものだ。
「お、懐かしいな。って、それでなんで機嫌が悪くなるんだ?」
「ヴィオレさん、クロエに艦内を案内された私に何て言ったか覚えてます?」
「確か…、クロエちゃんにサボってたって怒られて、藍澄ちゃんにナンパしてたことばらされて」
「そうです」
「藍澄ちゃんが怒るようなこと言ったか?」
「…… "さっきのは間違い" って言ったんですよ」
「へ?」
「私の声をかけたのはミステイクだって」
藍澄は子供のように頬を膨らませてヴィオレから顔をそらした。
全身で「怒っています」というポーズをとっているようだ。
「思い出したら何だか今更ながらにムカムカして」
「っつーか、藍澄ちゃん。もう時効じゃん、それ」
「だめです。今、傷つきましたから、許してあげません」
「藍澄ちゃんに許してもらえなかったらもうオレ生きていけねーよ」
「また、すぐそんなこと言うんだから」
「ホント、ホント。何でもするから許してよ」
「……そうですね」
チラリとヴィオレの様子をうかがうと、顔の前で両手を合わせていた。
そんな彼に藍澄はふふっと笑うと、
「ヴィオレさんがキスしてくれたら許してあげます」
と言って目を閉じた。
「…………へ?」
「できませんか?」
「いや……、そ、そんなことでいいのか?」
ヴィオレの言葉に「早く」と言うように、藍澄は顎を持ち上げる。
そんな彼女の態度にヴィオレは
「喜んで、お姫様」
と告げて、そっと唇を重ねた。
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(喧嘩のたびにキス一つで仲直り)