My dear ...
「藍澄は、ハムスターに似ているな」
膝の間に座る藍澄の髪を撫でながら、レイシェンはポツリと呟いた。
「そうですか?」
愛らしい動物に例えられて嬉しそうに笑みを浮かべながら、
「でも、レイシェンさんの口からハムスターって言葉が想像できません」
と、率直な感想を藍澄は漏らした。
するとレイシェンは髪を撫でていた手を止め、口を開いた。
「昔…飼っていた。かなり昔だが……」
レイシェンが過去の話をするのは珍しいことだった。
だから藍澄は、黙って耳を傾けた。
「間違えて少し力を入れたら、潰してしまいそうで怖かった……かもしれない。
藍澄といると、それを思い出す。触れるだけで折れてしまいそうな……」
「私、そんなに繊細じゃないですよ」
クスクスと笑いながら、藍澄はそっとレイシェンの手をとった。
そしてそのまま自分のお腹へと導くと、背中から抱きしめてもらうように、そのまま握り締めた。
「これでもタフですし、折れたりしません」
確認するように振り返り、「ねっ」と微笑んで見せれば、
驚いたように僅かばかりに目を丸めたレイシェンが、同意するように目を細めた。
「そうだな。だが、やはり似ている」
「そうですか?」
導かれた手に力をこめてぎゅっと抱きしめると、藍澄の耳元に唇を寄せ続ける。
「あぁ、小さくて、愛らしくて、……可愛いと思っている」
「そ、それって……その、ハムスターのことですよね」
普段あまりそういうことを言わないレイシェンが耳元で囁くように告げるから、藍澄は顔を真っ赤にした。
それにレイシェンが口を開くたびに、吐息が耳に当たってくすぐったいのだ。
そんな彼女の変化に気づきながらも、
「さぁ、どうだろうな?」
とレイシェンは笑った。
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