Do You Know My Heart?



「なにをむくれている」
「む、むくれてなんかいません」
「なら、お前は元々そういう面構えになるが?」
「そ、そうです」

藍澄の態度にレイシェンが笑うものだから、藍澄はますます膨れっ面を見せる。

「レイシェンさん、私になにかないんですか?」
「なにが、だ?」
「通信が途絶えたあとの報告です」

いつもの淡々とした態度のレイシェンとは対照的に、藍澄はムッと眉を寄せて口を開いた。 あのあと、レーラのお陰で難を逃れたエリュシオンだが、 レイシェンの機体は通信が途絶え何の反応も見せなくなってしまった。 藍澄の頭に最悪の事態が浮かんだのだ。

「レイシェンさんにもう会えないんじゃないかって、すごく心配したのに!」
「そうか」
「そうかって、それだけですか? って笑ってるし!」

滅多に感情を見せないレイシェンがまた笑うものだから、藍澄はますます頬を膨らます。

「笑い事じゃないです。心配したんです」
「だから笑っているんだ」
「なっ…」
「ずっと俺のことを考えていてくれたんだろう?」
「〜〜〜ッ」

図星をつかれて更に顔を赤らめた藍澄に、レイシェンはふわりと笑って口を開いた。

「ただいま」
「レイシェンさんはずるいです、もう」

そんなことを言われてはこれ以上怒ることなんてできず、 手を伸ばせばすぐ届く距離にいる彼に抱きつく。

「おかえりなさいっ」

にっこりと笑顔で言葉を返すと、藍澄はその胸に顔を埋めた。





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(再会後のプチ喧嘩。でも笑顔で「ただいま」って言われたら許すしかない)