Θ
君に教えてもらった笑い方 Θ
「一君ッ」
「お。ご機嫌だな、先生」
「うふふ。今日って何の日か知ってる?」
「煮干の日だろ? じゃーん、さっそくこれでタマのところに行くぜ」
「あはは。ま、いっか」
「ん? なにがだ?」
「なんでもない。はいこれ、一君の分」
「お。サンキュー、先生。タマと一緒に食わしてもらうぜ」
「(本気で気付いてないのかしら)」
そう言って立ち去る一の背中を見送りながら悠里は呟いた。
「あっ、先生!」
「ん? 何?」
「これ、タマとじゃなくて俺一人で食うから」
「え?」
「そんだけ。じゃーなっ」
クルリと振り返りそれだけ告げると一はバタバタと駆け出してしまった。
その背中を先ほど同様に見送る悠里だったが、その口元には確かに笑みが浮かんでいた。
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(08年バレンタインログ。煮干ネタはこっちが最初でした)